臨床法務

ここでは、実際に起こったトラブルに対して対処する業務である臨床法務について解説しています。

臨床法務とは

臨床法務は実際に起こったトラブルに対処するための業務です。取引先の倒産やクレームの発生といったトラブルが発生した際に、迅速に解決するのが臨床法務の業務となります。その他にも、取引先が支払いをしない場合の債権回収、元従業員から未払残業代の請求を受けた際の対応などが挙げられるでしょう。このように、臨床法務とは一般に「弁護士の仕事」と聞いて想像するような内容だと言えます。

臨床法務の種類

倒産処理

債務者が経済的に苦しくなり、債権者に対する返済が事実上不可能となった際に行われるのが倒産処理です。倒産処理には、「破産手続」や「民事再生手続」といった種類があります。

破産手続きの流れは、裁判所が破産手続きの開始を決定し、破産管財人を選任するところから始まります。そして、破産管財人は債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当するのです。通常、破産手続開始が決定された時点で債務者が所有しているすべての財産が換金され、債権者への配当に充てられます。

民事再生手続きは、さらに通常の民事再生手続と個人債務者の民事再生手続に分かれます。通常の民事再生手続は、経済的に苦しい状況にある法人や個人が立案した再建計画を、債権者の多数及び裁判所が認めることにより成立する、債務者の事業や経済生活の再建を目的とした手続きです。対して、個人債務者の民事再生手続は、通常の民事再生手続を簡素化した手続となります。将来において継続的に収入を得る見込みがあり、なおかつ無担保債務の総額が5,000万円以下の人の中で将来の収入を確実かつ容易に把握することが可能な人ができる申し立てです。

社員の不祥事

社員のミスや故意によって法的なトラブルが起きることもあります。例えば、社外秘のデータの持ち出しによる個人情報の漏洩や、記録媒体の紛失、私物の記録媒体を経由したウイルスの感染などがそれに当たります。こうした社員の不祥事に対応するのも臨床法務の重要な仕事です。

クレーム・トラブル

顧客や消費者からのクレーム・トラブルの処理も臨床法務の業務となります。サービスや商品に関して何らかの損害を被った場合などは法的な手続きが必要になる場合もあるので、それをできるだけスマートに解決するのも臨床法務の約目です。

臨床法務を弁護士に依頼するメリット

当事者のみでトラブルの解決をしようとすると、どうしても感情的になってしまいうまくいかないものです。そこで、臨床法務を担う弁護士が間に立つことでさまざまなトラブルを迅速に、かつ両者が納得行く形で解決することができるというのが、臨床法務を弁護士に依頼するメリットだと言えるでしょう。また、相手との交渉のために割かなくてはいけないコストが削減できること、交渉から裁判まで一貫して対応してもらえることも大きなメリットです。

【注目】社内弁護士経験のある弁護士と顧問契約をするメリット

社内弁護士経験のある弁護士と顧問契約を結ぶことには、まず単純に経験の浅い弁護士に比べると問題解決のスムーズさや対応の柔軟さ、そしてトラブル解決の確実性が違ってくるというメリットがあります。経験豊富な弁護士ほどさまざまな法的トラブルの経験があるので、それだけ迅速にトラブルを解決できるのです。また、社内弁護士経験があればいち早く社内の法的な状況を把握してくれるので、短い期間でその企業に必要な法整備を行ってくれるのも重要なメリットだと言えるでしょう。