予防法務

ここでは、不十分なコンプライアンスによるトラブルを未然に防ぐために重要な予防法務について解説しています。

予防法務とは

予防法務とは、名前の通りクレームや紛争、不祥事や訴訟などといった、将来的に社内で発生するであろう法的トラブルを回避することを重視した法務を意味しています。「リーガルリスク法務」と呼ばれることもあります。

具体的な予防法務としては、契約書のリーガルチェックが挙げられるでしょう。契約書の内容に法的な問題がないかどうかを確認するのは、コンプライアンス遵守はもちろん、自社にとって不利益となる条項を取り除いたり、日付や記名の間違いはないか、契約内容と実際の業務に違いはないかなどを確認します。

予防法務の必要性

トラブルの発生自体を予防する重要な役割持ちますが、トラブルを未然に防ぐこと自体には目立った動き・成果がわかりにくいこともあり、その重要性は認識されにくいこともしばしば。しかし、予防法務によって法的トラブルが発生しにくい、発生しても迅速に解決できる環境を整えておくことは非常に重要です。

法的トラブルが発生した場合、解決のためにはかなりのコストがかかります。また、自社内の小さなトラブルが取引先を巻き込んだ大規模なトラブルに発展することも珍しくなく、企業はトラブル解決に継続的にコストを割かなくてはいけなくなるのです。

予防法務は、こうしたコストの発生や被害の拡大を未然に防ぎ、企業が安心して業務を遂行するために欠かせない業務であると言えるでしょう。

臨床法務・戦略法務との違い

予防法務の特徴を、臨床法務・戦略法務との違いという観点から見てみましょう。

臨床法務とは、実際に起きた法的トラブルに対処するための法律事務のことです。具体的な例としては、取引先倒産に伴う債権回収や、支払期限を過ぎても代金を支払わない取引先に対する売掛金回収のための訴訟の提起などがあります。

戦略法務とは、経営戦略に関わる法律業務のことです。企業買収・合併・事業譲渡などの経営戦略には、高度な法律知識が欠かせません。この経営戦略における法務部分をサポートするのが戦略法務です。ただし、戦略法務は企業の経営規模によっては必ずしも必要とは限らないので、必要に応じて専門家に依頼する形でも足りる場合もあります。

このように、予防法務、臨床法務、戦略法務はそれぞれ担当する分野が異なっており、どれかひとつだけあればいいというものではありません。むしろ、これらが3本の柱となってはじめて企業法務が成立しているのです。

予防法務を弁護士に依頼するメリット

中小企業の中には法務部門がない、専任の法務担当者がいないという会社もあります。しかし、そうした中小企業でも予防法務を弁護士に依頼することで法的トラブルを予防できる環境を構築できるのです。

また、法的トラブルが起こってしまった際にも、予防法務を行っている弁護士がいればすぐに相談・対応が可能なので、トラブルが大きくなる前に解決を目指せます。

【注目】社内弁護士経験のある弁護士と顧問契約をするメリット

顧問契約を考える場合、社内弁護士経験のある弁護士がおすすめです。社内弁護士経験があれば、迅速に社内の法務業況を把握が可能です。そうすれば、予防法務によるトラブルの抑制や解決をしやすい環境の構築も早い段階でできるようになり、安全な社内環境を実現できるのです。