クレーム対応

ここでは、クレーム対応に関して企業法務から受けられるサポートやクレーム対応のコツについて解説しています。

企業法務に任せるべきクレームとは？

企業を経営していくにあたって、クレームは自社のサービスを見直す重要なきっかけになります。長く自社のサービスを使用してくれているお客様や取引先からの貴重な意見には、真摯に耳を傾けて対応するべきでしょう。

しかし、中には悪質なクレームが含まれていることも事実です。自社に非がない場合や理不尽な要求を突きつけてくる場合、長期間にわたって批判してくる場合などには、企業法務に任せることも検討してみてください。無理に自社で対応し続けると、いつまでも解決しなかったり、問題が大きくなってしまったり、従業員の士気が下がり離職してしまったりするといったことにつながりかねません。自社にとっては珍しい事例であっても、企業法務は多数のクレーム事案に対応しているので、適切な処理方法を知っています。

企業法務がクレーム対応でしてくれるサポート

マニュアル作成・対応中のアドバイス

クレームが発生したときには、初動が大切になります。相手の感情を落ち着けなければならない一方で、単に謝れば済むものでもありません。企業法務には、業界の特色や他社事例を踏まえて、クレームが発生したときに担当者がどのように対応するべきかについてのマニュアル作成を依頼することができます。また、実際のクレームに対して、マニュアルに沿って対応していてイレギュラーな事案が生じたときなどは、企業法務に相談してアドバイスを受けることも可能です。

クレーム対応の体制整備

クレームへの対応を企業内で知見として蓄積していくためには、事前に体制を整備しておくことが必要です。責任者や担当者を明確にすることや、クレーム対応の記録・情報共有の体制を整えること、事実関係を整理して企業方針に反映させることといった流れをつくるために、企業法務が支援します。

代理交渉・裁判対応

担当者や責任者が適切な対応をしていても、クレームが収まらず、問題が長期化しているときには、企業法務に代理で直接交渉してもらうこともできます。弁護士が出ていくことによって、クレーマーの態度が変わることは多々あるのです。裁判に発展してしまったときにも、企業に多大な不利益が及ばないよう、代理人として対応してくれます。

インターネット上のクレームへの対応

SNSや掲示板などに書かれたインターネット上のクレームへの対応も、企業法務の業務の一つです。不満や愚痴のような内容であれば放置しておくしかないこともありますが、中には営業妨害や名誉毀損に当たるものもあるでしょう。匿名の書き込みの場合はなおさら自社での対応が難しくなりますが、企業法務に依頼することで、サイトへの削除依頼や情報開示請求、クレーマーへの警告文の送付、損害賠償請求などを行うことができます。

クレーム予防策の作成・研修の実施

クレームに適切に対応することに加えて、クレームが発生することを予防するための施策の作成や、施策を活かすための研修の実施も依頼することが可能です。過去の事例をもとにクレームが発生する原因を分析し、クレーム対応の体制を再整備します。また、担当者や責任者に研修を実施することで、より強固な体制を整備することができ、重大なトラブルへの発展を防止するだけでなく、顧客や従業員の満足度を向上することができるでしょう。

企業法務に相談・依頼するメリット・デメリット

メリット

企業法務に相談・依頼することには、つぎのようなメリットがあります。

• 本業に集中できる
• 法律に則った反論ができる
• 悪質クレーマーに目をつけられない
• 法的な最終解決ができる

本業に集中できる

自社のサービスにとって価値のあるクレームであれば真摯に対応するべきですが、悪質なクレームへの対応は、単に時間が取られて担当者が疲弊してしまうという結果になりかねません。企業法務に依頼することで、悪質なクレーム対応から解放され、本業に集中することができます。

法律に則った反論ができる

クレーマーの中には、「法律を調べたらこう書いてあった」「知り合いの弁護士に話を聞いた」などと、専門家でないと真偽を判断し難い知識を伝えてくる人もいます。法律の知識がなければ即座に反論できませんが、企業法務であれば、真摯に対応するべき事案なのか、きっぱりと断ってもよい事案なのかなどを法律に則って判断することが可能です。

悪質なクレーマーに目をつけられない

企業法務に顧問についてもらうと、ホームページ上などに「顧問弁護士」として公開することができます。このように顧問弁護士の存在を公表することで、法的にまっとうな対応をする会社だということを伝えることができ、悪質なクレーマーに目をつけられないこともメリットの一つです。

法的な最終解決ができる

企業法務は多数のクレーム事案を解決しているので、トラブルが起きてもどのように着地させられるかについて知見を持っています。最終的な解決時に「今後一切の要求をしないこと」といった示談書などを交わすことで、問題を再燃させることなく終わらせることが可能です。

デメリット

企業法務に相談・依頼することには、つぎのようなデメリットがあります。

• 費用がかかる
• 依頼先を選ぶのが難しい

費用がかかる

企業法務に相談・依頼するときには、費用がかかってしまうのがデメリットです。初回は無料で対応してくれることもありますが、継続的に相談したり本格的に業務を依頼すると、それ相応の顧問料がかかることになります。企業法務に相談・依頼するメリットと比較しながら、検討するとよいでしょう。

相談・依頼先を選ぶのが難しい

東京にはたくさんの弁護士事務所があるので、相談・依頼する事務所選びが難しいのではないかと思います。業務によって得意・不得意がありますので、主にクレーム対応を強化したい場合には、クレーム対応が得意な事務所を選ぶことがオススメです。

自社でできるクレーム対応のコツ

企業法務にサポートしてもらったとしても、日頃のクレーム対応や初動については自社で行う必要があります。自社でできるクレーム対応のコツもおさえておきましょう。

事実関係を正確に把握する

まずは事実関係を正確に把握します。話を真摯に聞き、気分を害したことについては謝罪をすることで、相手の感情を落ち着かせることも可能です。事実関係を確認しながら、正当なクレームか不当なクレームかも判断していきましょう。

複数人で対応する

クレーム対応も人と人の関係なので、相性があります。対応する人が変わればクレーマーの態度が変わることもありますし、担当者1人が疲弊してしまうこともありません。責任者と担当者が役割分担をするという戦略も考えられます。

内容を記録する

重大なトラブルに発展してしまったときに備えるだけでなく、企業内でクレーム対応に関する知見を蓄積するためにも、内容を記録しておくことが大切です。録音する場合には、電話の機能などを使って、事前に相手に伝えておきましょう。

対応策を検討してから回答する

なかなかクレームがおさまらない場合には、対応策を検討してから後日回答するというのも一つです。企業にはクレームに対して即座に回答しなければならないという義務があるわけではありません。不当な要求や過大な要求に対しては、チームで対策を練ってから対応するとよいでしょう。